SATC

#94 しあわせ探しの末に

Sex And The City」をSATCと略すと知ったのは結構最近のことでした。*1最終回を目前にした一挙再放送のおかげで、かなりハマった状態で迎えた今回でしたが、やっぱここしかないよなぁ、という落し所に持っていきつつも、登場人物たちのこれからも続いてゆく人生に思いを馳せる余韻を持たせた上手い終わらせ方でした。アメリカのドラマを見ていて感心するのは、こういう上手さですね。SATC然り、フレンズ然り、ER然り…。*2
アレクサンドルの元妻と2人きりでランチを取る羽目になるキャリーですが、このジュリエットていうのがまぁ魅力的というかカッコよすぎというか。「副流煙の殺し屋」には笑いました。仕事は応援してくれてた、と言うキャリーに、人って変わるのね、と少し驚いた様子のジュリエット。彼女はアレクサンドルを愛してた(もしかして今も?)けど、二番手に甘んじるのはイヤだった、つまり彼にとっては常に自分の芸術が一番であって、今もそれは変わらないはずだ、と思ってるんでしょうね。アレクサンドルに芸術家らしい身勝手さを発揮されてキャリーがストレスを溜めていくのは、クライマックスに向けた仕込と分かっていながらも、こっちまでストレスが溜まります。私は甘いもの苦手なので、カフェでケーキを積み上げて食べてるシーンでは冷や汗が出てしまいました。そうそう、パリは一度しか行ったことないですが、やっぱり皆さん煙草バカバカ吸ってましたね。そして、犬の糞は1箇所じゃ済まない量を見かけました。ギュスターブ・モロー美術館に行ったのですが、割と住宅街ぽいとこにあって犬の散歩コースなのか、足下見続けながら歩かないと危険極まりなかったです。
一方ニューヨーク組も、それぞれに問題が起こっていました。もともとの問題だった、シャーロット夫婦の養子探し、サマンサの治療に因るヤる気ゼロ、さらに俄かに持ち上がったスティーブママの痴呆問題まで。映画の撮影現場に出かけて、その気になったら若くて可愛い女の子とヤっちゃってもいいのよ、と相変わらずスミスをけしかけるサマンサ。どんなにスミスが否定しても、余裕を装って煽り続ける彼女は本当に痛々しくて、そして可愛らしい。今は冬なんだ葉が無くても死んでるわけじゃない、春が来たら!と慰めるスミスは本当にいい男です。スティーブママのおうちの惨状を見て、家に引き取ろう、と言うミランダは、今まで意地張って無意識に押し隠していた生来の優しさが一気に表れてきた感じです。スティーブという良き伴侶を、また何よりも宝物のブレディを得て、変わった、というより在るべき姿に落ち着いたような。シャーロットは養子になるはずの子をお腹に宿した若夫婦を家に迎えますが、お腹の中の子は女の子で、女の子の名前ばかり考えてしまって…、と話す女性に、全てを察します。赤ちゃんを手放す気は無いのだ、と。謝る夫婦に憤り養子縁組の弁護士に文句のメールを書くハリーと、彼を慰めるシャーロットに涙していると、今度はスミスからサマンサへの、花の無い水仙(?何の花だったんでしょう?よく分からない)のガラスの鉢植えが届いているシーンに切り替わり、涙腺に追い討ちが掛かります。鉢植えに添えられたカードには、「春を待ってる」とメッセージが書かれてありました。思わずスミスに電話して、やっぱり他の子とはしないで、と素直に求めるサマンサに、「いいよ。」と優しく答えるスミスは…(以下略)。
さてまたパリでは、アレクサンドルのわがまま(と本人は思ってないので更に始末に終えない)のせいで、パリでようやく自分=キャリー・ブラッドショーを見てくれた人たちをすっぽかす羽目になったキャリーでしたが、繋いでた手を躊躇い無く解いて、自分の作品に拍手した学芸員の握手に応えた彼に、違和感を覚えてます。美術館で彼に放置され所在無くバッグの中を探っていた時、破れ目から出てきたキャリーの名前のネックレス。次の瞬間、美術館を飛び出して、すっぽかし場所に駆けつける*3と、飲み物のシミにまみれた自分の本だけが取り残されていました。失ったもの、失うものをようやくハッキリと悟ったキャリーはアレクサンドルに別れを告げました。違う部屋に移るためにフロントにいるところへ、ビッグが登場します。あー、ミーシャには悪いけど、夜のパリを歩く2人は本当にお似合いで、お互いに遠回りしたけどやっと辿りついたんだなぁ、と感慨深いです。
シャーロット夫婦の元へも6ヵ月後に養子がやってくることが知らされ、写真を見ながら、私たちの赤ちゃん、と泣きじゃくる彼女にまたもや貰い泣き。さらに、徘徊してたスティーブママを探しまくって家に連れ帰り、温かい湯船で彼女を優しく洗う様子を見かけたマグダに、さっきのあなたには愛があった、と祝福されるミランダにまた涙。トドメは、電話で言い忘れたから、と夜の飛行機で飛んで戻ってきて、愛してる、とサマンサに告げるスミスですよ…。普通だったら少女趣味過ぎてペッペッペッ!と思うところなんですが、サマンサの今までの男遍歴が逆に生きると言うか、素直に良かったー、と感じました。そして、ニューヨークに戻ってきたキャリーは、愛について考える、とコラムを綴っています。やっぱり、このスタイルがしっくりきます。おー、そして携帯に表示された名前!とうとうキャリーはビッグの本名を知ったんですね〜。自分を愛する、自分のために人を愛する、それは素晴らしいことだ、と長い物語は締めくくられたのでした。
まとめに入った感は当然ありましたけど、納得のいく素敵な最終回でした。ビッグの「男じゃないね。」発言とか、直前スペシャルの予習も効きましたし。直前スペシャルと言えば、サマンサ役のキム・キャトラルさんの声が凄く素敵でした!勝生真沙子さんのお声も勝気で素敵ですが、キャトラルさんの知的で優しげな声もいいですね〜!普段は吹替え派なんですが、この声なら字幕版も見てみたいなぁ。

*1: ところでSATCってどう読むんでしょう?自分の頭の中では勝手にサットシーって読んでましたが…

*2: ただ、今回と前回の邦題の付け方は安っぽくて頂けないです。しあわせ探ししてたわけじゃないと思う。

*3: この途中のビッグとのすれ違いは「君の名は」かよ?とちょっと笑い